婚活界隈でよくあるセリフが
年収1000万円の方と結婚したいんです~!
である。年収1000万円は世間的には高収入な部類に入るが、決して裕福な暮らし(=金額を気にせずに使える生活)はできないことを肝に銘じておかねばならぬ。
「年収1000万円の人と結婚したいんですぅ」などとおっしゃる方々の多くは、年収1000万円あるとどんな生活ができるのか具体的に考えたことがないであろう。
そんな方たちのために、僕が独断と偏見で勝手に見積もった年収1000万円の生活を紹介してみる。これが現実に即したものであるかは保証しない。
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まず、年収1000万といっても稼いだ額全てを使えるわけでは無い。収入には税金がかかる。2021年現在では給与所得として年収1000万を稼ぐ場合、家族構成にもよるが年間で200~300万円ほど税金で引かれ、手元に残った700~800万円で家計を成り立たせる必要がある。
さて700~800万円が手取りである場合、ひと月あたりの収入はいくらだろうか。気をつけねばならないのはボーナスである。年収1000万円ほど貰える会社だと、おそらくボーナスは夏冬2回で2.5か月分の合計5か月分くらいが相場であろう。つまり、1年では12か月+5か月=17か月分の給料をもらうことになる。したがって、ボーナス以外で毎月貰える額は40万~50万円ほどで、ボーナスは1回80万~100万ほどである。
次に一月あたりの出費を考えてみる。ここでは首都圏在住で子供二人の4人家族を想定する。
出費で一番かかるのが居住費である。年収1000万円と結婚したい人たちは快適に暮らしたいと考えるだろうから、4人家族で3LDKくらいの広さはの賃貸マンションを想定してみよう。都内が通勤圏内の場合で、都内の都市部(23区内)では20万円前後、西側で10万円前後、神奈川も千葉も埼玉10万円前後はする。
次に賃貸ではなく分譲マンションや一戸建てを買う場合を想定してみる。こちらのページによると年収1000万円の場合は5000万円くらいの物件が目安となるらしいが、月々の支払は20万円ほどになるそうだ。
というわけで、ここでは居住費として10万~20万円を想定してみる。月々40~50万円ほどだったので、居住費を差っ引くと残りは30~40万円ほどになる。
居住費以外の生活費を考えてみる。4人家族だと、一人あたり少なく見積もって1食500円だとしても500円×4人×30日=6万円である。外食をしたり食べ盛りの子供がいればもっとかかる。4人家族の平均だと大体8万円らしい。光熱費や通信費は2万円前後、衣類代は月あたり1.5万円くらいとなるので、食費と合わせると月々10万円の出費となる。したがって残るのは20~30万円ほどである。
残った月々のお金とボーナスを合わせると、20~30万×12か月 + 80~100万×2回 = 400~560万円が1年を通して残るお金になる。手取り額の6~7割ってところだ。ここから、子供の教育費・保険・娯楽費・車代・貯蓄等々をねん出していくことになる。場合によっては住宅ローンの追加返済なども含まれる。
よくありそうな出費先を列挙してみると、子供の習い事が20万/年、家族4人で海外旅行に行くと50万/回、200万の自動車を金利0.03%の5年ローンで買うと45万/年、あたりである。
まあ上記全部に使い、1年あたり50万円を貯金すると考えると、1年あたりで残るお金は250~350万円くらいになるのかな?そうすると、4人家族で平等に分けたとして、一人あたりの月々のお小遣いは5万円前後である。「結構残るじゃん」と思ったかもしれないが、上記の計算には学費は一切含んでいないので要注意。
毎月5万円自由に使っていいとなると暮らしとしては十分に楽であるが、想像しているほどリッチな生活はできないことが分かるだろう。
都内で一戸建てが欲しいとか、子供を私立に行かせるとか、そういうことを考えだすと余裕はどんどんなくなっていく。
残念ながら年収1000万円では、想像しているような悠々自適な暮らしは難しいことを知っておくべきである。
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色々書いたけど、年収1000万はそこまで裕福ではないから過度に期待するのは良くないよ、ということと税金が高すぎるということである。
労働収入にあれだけ税金がかかるのは本当に良くない状況で、不労所得から税金を取るようにした方がいい。昨今は年収1000万円~あたりの人を高所得者と呼んで、年収が低い人達との対立を煽るようなニュースが多いが、それに騙されてはいけない。年収1000万円とは言っても結局労働者であることに変わりはないので、同じ労働者同士で対立するのは悪手である。労働者が文句を言うべきは資本を持っている人達だということを理解してほしい。
つまり「年収1000万円の人と結婚したいんです~」という人が本当に主張すべきは「年収が500万円くらいでも十分に暮らしていけるほど税金を下げろ。労働者の平均所得を上げる政策を出せ」である。
話が逸れた。
政治への文句はさておき、これまでの話から分かるように年収1000万円の人と結婚しても想像しているような裕福な暮らしはできない、ということがお分かりいただけたと思う。最後に、婚活市場で年収1000万円の人を探すことについて話していく。
日本で年収1000万円を稼いでいる人達は男性だと全体比で7%、女性で1%程度らしい。これは全年代・既婚独身合算の数値なので、未婚かつ結婚適齢期(20~39歳)だと全体比で1%もいないんじゃないかな。つまり婚活している人のうち100人に一人いるかいないかくらいのレア度である。
ちょっとたとえ話をしてみる。学校のクラスを思い浮かべてみる。一クラス40人で男女比半々で20人ずつだから、男女それぞれ100人ずつだと5クラス分である。5クラスだと大体一学年分くらいだ。つまり年収1000万円の人は学校1学年の中にギリギリいるかなというレア度である。それでもって人気の高い人になる。少なくとも同じ学年の中ではトップの人気である。高校生に例えると、学年一イケメンの人とか学年一かわいい人と付き合うという感じである。年収1000万円の人と結婚する難易度とはこういう具合だろう。
100人に一人いるかいないかの人達相手にお見合いをしていき、数少ない中から自分に会う人を見つけて結婚をする。これは相当労力がかかるし、自分にあった人を見つけるのも難しいだろう。そんでもって、苦労して結婚したはいいけど思ってたほど暮らしは裕福ではない、ということになってしまったら。。。
個人的には婚活で年収1000万円にこだわるのは相当な悪手であると思う。個人的には世帯年収900~1000万円あたりを目指すのが良いのかと思う。ちなみに共働きのほうが税金的には得です(例外もあるけど、大体20万程度可処分所得が増える)。それに年収1000万円のひとと結婚して専業主ふって結構リスクだと思う。相手の収入に100%依存するわけだし。生殺与奪の権を他人に握らせるな!!(これが言いたかっただけ)
二人でそれだけ稼げばいいので条件としては相当緩和されるし、色んな人ともお見合いが組めるようになって良いと思うけどなあ。
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色々書いたけど、どういう条件で婚活するかはその人の自由だし好きにすればいいと思う。
僕としては、お金はあればあるほど便利だけどお金がすべてではないし、お金に囚われすぎて結婚できないのは本末転倒だと思っている。
今日の話は以上である。
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